如月の憂鬱

濡れた髪に通した指はいつもより優しくて

ゆっくりゆっくりと毛先へ伸びてく

 

艶めく肌柔らかな光さえ飲み込んで

滴る水にさえ敏感になってく

 

背伸びをしたい大人になりたい

そうしないとあなた振り向いてくれないでしょ?

 

だから今日くらいは誘いに乗ってよ

私はいつも準備万端よ

深く深く根元の方まで這わして欲しい

まだ目が本気じゃない次こそ射止めるから

 

吸い付くような快楽に溺れし悪魔が

今度は下まで来てほしいから

 

透ける布に揺らぐ気持ちと

白い張りをその手で揉みしだきながら

 

響く声に上がるだけの息

いきたいときはいけばいいの

増える爪の痕に塗りたくった私の想い

火照る身体もどかしいな

あと何回でも付き合ってよ

 

痺れるように喘ぐたびに

戻れなくなるの

唾液まじりの枕をなぞって

また今夜もおしまいなのね

なでる肌の感度とリンクするあなたの吐息

熱い先だけを捉えていつか叶えて