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私の描く歌詞論=中編=

前置き無し。

いきなりこっち来ちゃった人は前回へ。

「長きに良し」(2016年)

大枠[長良 史実 追憶]

 

 

"照準合わせてアトランタ

中央海域夢に見ゆ 赤い城

ラバウル島より曳航中

最新鋭の軽巡も もう疲れたよね"

 

これこそが私の史実歌詞スタイルだ。

当然史実ともなれば、それに重きを置いて勉強するのだが、そこで得た単語は全て分解して複雑化する(複雑化言えど、「赤城」→「赤い城」といった具合だが)。

 

この曲はAメロでひたすら問いかけ、サビで回想に入る。

必然的に弾き語りのような形式になり、サウンドも簡潔なバンドサウンドに落ち着いた。

この他の史実系ソングも全て作り方は同じだ。以降は割愛させていただく。

 

「桜の影が散るその前に」(2016年)

大枠[エンディング キャラクターから見た創作の世界 応援歌]

 

ちょっとだけ特殊な歌(一見普通だが、私の目線で)なので、物語調に紐解いていく。

 

"右に倣えの生活も一回終了して

バックアップも完了?ならば全力全身GOGO!

please&princess ひたすら言いなりになってきたけど

自由な体もいいじゃない だって景色が増える

 

もうちょっとだけ明るい未来がいいな

そんな願いもボタンひとつで叶う世界です

 

孤独を捨てて嫌になっても辛いだなんて別にないし

これが私の航路なのよ 誰にも邪魔はさせないわ

ピックアップされた意味 それは他人の欲求解消?

知らない!何にもわからない!だから叫び続けるだけ"

 

準備の道のりはただ単純でとてもつまらない。同じことの繰り返しだ。

思い出が消えない確証が得られたなら、安心して新しい景色を見に行ける。

やっと思い通りになれたこの身体も、何故か君の言いなりになるんだ。

君が落ち込んでいるのは何故なんだろう。でも今はパソコンやスマホが解決してくれる時代。私は不要?

孤独感すら放棄して、この世界を見つめよう。辛くなんてない。

私のやり方に口出しはさせない。私のやり方は私がやろう。

少しばかり新しい力が手に入った。皆が私を見てくれる。でも、一部の人間は承認欲求や性欲のために私を使う。こんな世界に理解はいらない。でも誰かに助けてほしい。

 

"暗闇を照らす光は紙が重なる世界

一つ二つと増える人格 それは文か絵か音の羅列

face to face あれお別れ?なんだか腑に落ちないし

箱に閉じ込められては そして忘れられてく

 

もうちょっとだけ光が欲しいかな

今ならあの光も愛おしいな 

 

なんちゃって

未読のページすっ飛ばして それが幾年積み重なっても

その履歴には何が残るの?結局その場の自己満足

ギクシャクなったその日に限って潤う思考回路

見てない!分かりたくはない!逃げろ鍵をかけて"

 

私が輝くのは、きっと本の中の世界だけ。私を描いてくれる人が増えて、でもその分だけ私自身が増えていって、少し疲れちゃうな。小説でも漫画でも楽曲でも、私は色々な形で増えていく。

ねえどうして。あれだけ私を愛してくれたのに。一部の人格たちは段ボールに詰められて封をされる。さようなら、過去の私。

少しだけ楽になった気がするが、やっぱり外の世界も恋しい。もう少しだけなら、人々の目に晒され続けるのも良いかもしれない。

なんてね。見て見ぬふりして、逃げ続けてきたから大事な部分が抜け落ちて、私の力としては何一つ残っていない。誤魔化し続けた代償がこれなんだ。

「君と大喧嘩した時に限ってとてもアイデアが浮かんでくる。でも今は顔を見たくないんだ。アカウントに鍵をかけよう。」

 

"プラスマイナスの判断が難しいこの世界で

闇雲に引き算続けて意味はあるの?

そうして自由が減って居場所がない 誰のせい?

ふざけないで!自分の責任を感じて!

 

鈴の音響く

子供のように泣きじゃくって後で強がりとかも言って

そのループで成長するの?寝言は寝て言いなさい

道を探してもがき続けて時には傷つけあって

反省してこその自分です だから絶対諦めないで

 

きっと世界はまだ広くて分からない事もたくさんあって

まだ見たことない景色があって だからこそ面白くって

今度はあなたの元へ行くよ だからもう少し待っててね

ねぇ 今ならわかるでしょ はやく気づいてよ

桜の影が散るその前に"

 

物事の分別がつきにくいこの世界。すべてがマイナスに見えて、面白い?

そんなことだから考え方が卑屈になって、自暴自棄になって。いったい誰のせいでそうなったんだ。自分のせいでしょう。甘えないで。

どれだけ泣こうが過去には戻れない。どれだけ子供のフリしても過去には戻れない。

沢山笑って、泣いて、喧嘩して深め合って、それでやっと一歩進めるんだ。

それでもまだ足りないくらいにこの世界は広い。分からないことも分かりたくないこともある、だからこそ面白い。どう?勇気は出たかな。

「次こそは皆の所へいく。どんな景色だって見てやる。絶対に君の街まで行くから、少しだけ待っててくれ。」

これが私の原点で、私の考え方。この私が誰に当たるのか、もう気付くでしょう。

 

 

これが私の同人に対する考え方をキャラクターに代弁させた曲だ。

勝手に一人称を借りて、言いたいことを言わせた。

どうしようもなく身勝手な曲で、どうしようもなく私らしい曲だ。

 

「しゅう!たい!せい!」(2015年)

大枠[即売会 キャラクターから見た創作の世界]

 

これ、「桜の影が散るその前に」と全く同じ世界線。ちょっとだけ前の話。

主人公という名の、誰かの話。

 

"辛いが言えないな 言葉にしても意味がないし

繰り返す歴史たちは 何を思い何を感ず

 

薄闇に隠された花 ベールを脱いで目に映る

特別な日に迷い込んで 光に包まれ世界を注ぐ

暗い波影がいま 目の前に迫る相乗光景

取られた隙間風は 音を成して深い海へ

新しいという固定概念 他の人にとって錆びついた信念

力尽きて沈みゆく日に 明日の還元を祈願して

 

辛いが言えないな 言葉にしても意味がないし

追いかけたその先は 何が残り何を思う

悲しいなら泣けばいいのにさ 分からない思いが心を打つ

非現実から現実へ これは君が求めてたことなのかな

 

辛いが言えたなら 誰かに慰められると

思うならそこまでだ これが本当の現実だ

辛いが言えないな 言葉にしても意味がないし

繰り返す歴史たちは 何を思い何を感ず"

 

別に辛いって言っても意味がないんだ。辛いならやめればいい、そう返されるだけだから。こうして日々は続いていく。特に何も起こらないまま。

隠してきた情報を解禁した。ここに新しい景色の誕生だ。色々な新しい世界が集まるその会場へ足を運ぼう。初めて会う人が、その景色を手に取る、その瞬間の微風すら心地がいいんだ。そして私の描いた音の海に溺れるといい。

新しいものを作るという、その発想自体が古い。見古したこの景色を、新しい表現で塗り替えていこう。

この非現実的な空間も時間に限りがある。終わりを迎えると、やはりどこか心に穴が開いたようだ。ずっとこんな時間が続けばいいのになと切に願う。

辛いって言って、誰かに慰めてもらえるなら安いものだ。現実は知ってる。

だけど、この非現実も繰り返しまた来てくれる。

私はそこへ新しい音を持ち込もう。

 

この頃はアルバムの至る所に、私自身の創作に対する意思を投げ込んでいた。

今も、きっとどこかで散りばめていると思う。

私の考え方は常に変わり続けている。だからこそ、こうして文章に残す。多少難解な書き方にしても、それはきっと大切なバックアップになるから。

その時の気持ちを忘れないために。

 

「黄色疑問符」(2015年)

大枠[阿武隈 素朴な疑問 戦いとは]

 

"疑問符の種を植えて 咲くのはいつになるのかな

また明日も水をあげて 観察するのです"

 

"こうして謎は増え続けるのです

どうしてもまだ増え続けるのです

ならば疑問符の種を燃やしちゃえばいいのです"

 

桜がモチーフのアルバムなので、植物になぞらえた言葉がよく出てくる。

疑問符「?」がスコップと種に見えたので、こうした言葉選びをした。

蒔いた種に水を与えて、早く成長しないかなと眺める。でも、その種が成長する程に、私がどうして生まれたのか、どうして生き続けるのか、どうして戦わなければいけないのか、疑問が増え続ける。やがて、頭がパンクしそうになると、あの時の種が原因だと気付く。それが芽吹く前に燃やしてしまおう。私はこれ以上傷つきたくない。

そんな景色が凝縮された歌詞です。

 

 

 

今回は以上。2本でまとめるつもりだったが、思いのほか長くなったので次回をラストに。最終回はこれまでとは色味の全く違う、私自身の現実体験を基にした歌詞ばかりが集うオリジナル曲の世界を紐解いていく。濃いよ、来いよ、それは恋よ。

きっと面白くなる。では、また。